#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

法で愛情を裁けるのだろうか

なぜか、テレビでも新聞でもネットでも静かだ。イクメンやコマーシャルで流される幸せそうな家庭像は、どれだけの一般的なものなんだろう。いや、そうした映像とはかけ離れてしまった家庭は、数的にも比率としてもまだ少ないのかも知れない。にしても、そう…

京都を旅して、いま

先年、初夏の京都へ旅し、歩きまわったことがある。嵐山の緑濃い竹林の道を抜けてたどり着いたところが、化野(あだしの)念仏寺だった。小雨ふるなか、境内に白い墓石が数限りなく点在している一角に、件の六地蔵がひっそりと建っていた。正確には「六面六…

春を告げる花

息子が小さかった頃、毎朝、ほうきを持って庭や家の前の道路をそうじするのが課せられた仕事だった。春には小さい花がたくさん積もって、彼はブツブツ文句を言いながら、時には怒りながらほうきをふりまわしていた。 そう、庭には年々大きくなるミモザの木が…

あなたの中の「鬼さん」は?

のっけから鬼さんにまつわるお話です。 国連には国際法に基づく裁判所として「国際刑事裁判所(ICC)」と「国際司法裁判所(ICJ)」があります。日本人の赤根智子判事が加わる国際刑事裁判所は、昨年3月、ウクライナ侵攻をめぐり、プーチン氏に逮捕状を出し…

私たちは、私はどう生きるか

「君たちはどう生きるか」ー よく知られている吉野源三郎の少年少女向けの名著であり、それを基にしたといわれる宮崎駿監督のアニメタイトルでもある。その制作にいたるNHKドキュメント「プロフェッショナル」を観て、次いでWBCのジャパン優勝までのドキュメ…

人はプーさんに劣る?

くまのプーさんは、子どもによく愛されているキャラクターだ。チビちゃんのベッドにもそのぬいぐるみが2体転がっており、人形ごっこや、寂しい時の話し相手にもなっている。 でも最近、リアルの熊のニュースがよく登場している。町なかを歩いていたとか、山…

天井のない監獄 (Open-Air Prison)

それはある日、とつぜん目の前にできていたんだ。 網を張った鉄格子の壁ができていたんだ。 そりゃ、びっくりして、あとずさりして急いで逃げ出したよ。 だって手を掛けたら網がからむし、塀はのぼれたもんじゃない。 近寄ったり、そこをうろうろしてたら何…

山寺を登りきれたよ

ちょっと前からチビちゃんと旅をするのもいいな、と思いつつ時間ばかり過ぎていくのをボーっと眺めていた毎日だった。でも家族にせかされ、本人も乗り気のようで、本気で飛行機やレンタカー、ホテルを調べ、手配し、スケジュールをプランしました。だって一…

平和、命そして信頼

昨夜、テレビのスイッチを押したらNHKの番組「クローズアップ現代」がやっていた。すでに終わりごろではあったが、桑子さんがロバート・キャンベル氏にインタビューしていて、ちょっと気になって見入ってしまった。 氏は日本文学研究者だが、ウクライナを訪…

ある日、忍野の里で

梅雨明けの情報が各地でちらほら聞かれたこの時期、富士山麓の忍野の里へ行く機会があった。さいわい雨にはあわず、朝方は高地のためか、さわやかな空気を味わうことができた。 すこし車をころがし、河口湖へ向かう。山中湖とはまた一味違い、湖岸にはいろん…

向日葵が語るもの

♫西から昇ったお日様が 東へしィず~む…♫ 天才バカボンよろしく、近所のひまわり街道の花たちは日が沈むと東を向いてしまう。明朝の日の出を待つかのように。(この道は、春には菜の花が咲き乱れ、夏にはひまわり、そして秋にはコスモスと季節感たっぷりに彩…

明日も晴れるかな

中国では2016年、かつての一人っ子政策から転換して複数の子どもを持てるようになったにもかかわらず出生率は低下しているという。おぼつかないまま高齢化社会に向かい、労働力減少、生産力低下にひた走るかもしれない。といっても全世界の華人社会を思…

いのちの重さ、って?

五月の初旬、いろいろとお世話になった方が亡くなった。それ以来、頭の中になにか気力やら思考力やらが少なくなったような気がして、何事にも手につかないような毎日だった。 一年余り前のこと、ステージIV=末期での治療にのぞんでいて、週3日病院に通い、…

♫ドン、となった花火が…

デジャブ…、既視感、そう、いつか見た光景。忘れたりしても、忘れられない、そしてふとした瞬間、頭の片隅によみがえる記憶、映像といった意味だろうか。 先日の福岡の香椎浜で見た情景だが、不謹慎かもしれないけど、これは難民キャンプじゃないかと思って…

「生きる」とは

”いのち短し 恋せよ乙女…” 夜更けの公園のブランコに揺れながら、ゴンドラの唄を口ずさむ老境の男のシーン。 70年前の黒澤明監督の名作だが、それをノーベル賞作家のカズオ・イシグロがリメーク脚本を担当した、「生きる LIVING」が先月末から上映されてい…

花を見るには…

最近いくつかNETFLIXのドラマを見たなかで、「ミスターサンシャイン Mr. Sunshine」24話がとてもよかった。5年ほど前の作品なのだけど、評判どおり、その美しい映像が随所にみられ、それだけでもいいし、粋なセリフがなんともいい。 韓国最後の名家の孫でヒ…

「和解」の朝

新しい一年が始まる日、日の出の時間をあらかじめ調べ、薄暗い早朝に皆そろって起きだし、近くの公園の草広場をめざした。チビちゃんも肌を寒気にさらし目をパッチリ開けている。 すでに大勢の人々が、思い思いの祈念を胸に集まっている。子どもたちは元気だ…

命のセンタクだ

年も押し詰まった頃、ちょっとした事情あってコインランドリーにお世話になった。たくさんの洗濯物があって、しかも乾きにくい冬の曇天の毎日。どうしようかと悩んだ先、そうだあそこに持っていこう、と車に詰め込んで持ってきた。 あいにく朝のまだ早い時間…

子牛はどこに…?

窓辺に外の淡い光を浴びて、一対の牛の置物が飾られている。親子だろう。そばには花瓶に、おそらくマユミと思われる赤い実をつけた枝が活けてある。静かにたたずむそれらを見ていると、ふと”牛に引かれて善光寺”というフレーズが頭に浮かぶ。 日本最古といわ…

命の選択は可能ですか?

数か月前から楽しみにしていた長崎旅行。でも、あっという間にその機会が訪れました。数家族での団体旅行ですが、乗り物やコースは思い思いに。宿は寺町通のコンドミニアムを予約して、みんなで食材やらドリンクやらを持ち込み、夜は宴会といういつものパタ…

足元にはもう秋の気配が

博多の三大祭りといえば春の博多どんたく、夏の博多祇園山笠、そして秋の筥崎宮放生会をさすのだそう。放生会は全国にもみられ、中国由来で「捕らえられた魚や鳥など生き物を野に放し、殺生を戒め、秋の稔りに感謝する」行事といいます。 一般に”ほうじょう…

静かな怒り

東区香椎の交差点にほど近く、ある小さな教会の入り口に、標語と言っていいのかわからないけど掲げられていた言葉が心に残った。通りすがりでほんの一瞬、目に留まった。 「サービス労働への怒り」 そのサービス労働の意味するところを知らない、あるいは感…

心の窓をひらいて

夜通し降り続けた雨でしたが、早朝4時、一段と激しく地面をたたきました。またジメジメした一日が始まるのか、とちょっぴり憂鬱な気分になりかけたころ、嘘のようにピタッと止んでびっくりしました。 そして夜が明けて、うっすらと空が明るさをとりもどし、…

♫祝いめでたの若松様よ

7月15日、まだ明けきらない4時59分、博多の町に男たちの大群が駆け巡った。コロナ禍で中断を余儀なくされたうっぷんを、この時ばかり吐き出すかのように。ひとつの山笠の一団に300人から800人ほどの担ぎ手、囃し手(?)、男の子、女の子の締め込み姿も凛々…

蚕食鯨呑(さんしょくげいどん)って

当地のサクランボの季節は終わりを告げました。 ぐずぐずっと雨が降ったり、日差しがまぶしかったりと、どっちつかずの季節のように思えますが、すでに夏日はじゅうぶん肌身で感じられます。先んじて熱い季節のはずの参議院選挙は終え、最終盤に思いもかけな…

美しい夕景の果ては…

7月8日(金)、奈良の路上で安部元首相が銃撃を受け、間もなく亡くなった。銃があふれかえるほどのアメリカならまだしも、比較的にも平和であったはずの日本で、手製の武器を作った一青年から銃口を向けられたのだった。 選挙の投票日を間近に控えた最終盤…

雨空に歌声が

♬あめ、あめ、ふれふれ母さんがー、ジャノメでお迎えうれしいな♪ いよいよここ福岡でも梅雨入りしました。毎朝、天気図と天気予報に一喜一憂。その日の予定を頭ですばやく組み立てます。でも思うように身体がすばやくついてこない。気温と湿度には降参、って…

50年目の休眠打破を

知りませんでした。桜の開花予報は沖縄から北海道まで日本全国を北上していくのだとばかり思っていました。でも沖縄以外の、いわゆる本土はソメイヨシノで一色(八重桜、ヤマザクラ、等々はもちろんあります)なのに、沖縄はヒカンザクラなのです。 従って桜…

「散華」を懴悔する

近くのヤマザクラや八重桜がだいぶん咲いています。反対に普通の桜(ソメイヨシノなのかな)はもう散り始めています。川沿いに並んで植えられ、満開に咲くさまはなんとも華やかです。もちろん花が散って葉桜になってもいいものですが。 なぜ川沿いに植えられ…

美しいものを美しい、と

昨年買った本、レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー (The sense of Wonder)」(2021, 新潮社刊)。なかなか読み始めるまでに時間がかかる本というのがある。まさにこれだった。著者は著名な海洋生物学者、というか自然破壊に警告を発した名著「沈…