#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

京都を旅して、いま

 先年、初夏の京都へ旅し、歩きまわったことがある。嵐山の緑濃い竹林の道を抜けてたどり着いたところが、化野(あだしの)念仏寺だった。小雨ふるなか、境内に白い墓石が数限りなく点在している一角に、件の六地蔵がひっそりと建っていた。正確には「六面六体地蔵」といい、仏教でいう、すべての衆生が生前の業の報いによっておもむ く六種の輪廻の世界を表しているという。

 すなわち地獄、畜生、修羅、天道、人間、餓鬼の六道。ぐるっと回ってなにげなく見ていると、そのうちの餓鬼の像がなんともいえない表情でしばらく見入ってしまった。ほかはいろんな仕種であったり、表情にも違いがあるけれど、餓鬼は両手を合わせ、なにごとかひたすらに祈っているようで、安らかな顔にも見える。阿修羅の像とは違うけれど、通じるように感じられた。

 人間の基本的な欲には、食欲、睡眠、呼吸、性欲、排泄などがあるが、およそ最も基本的なものは「食欲」ではないかなと思う。それは人間に限らず、動物にも植物にもいえて、エネルギーとなるものを取り込むことなしには生存できず、ミクロの世界でいえば細胞の次元でもいえる。そして種の生存のためには生殖(性欲)。

 「普通に食べられればだいじょうぶですよ」なんて、小児科の先生もいわれる。その点、うちのチビちゃんは例え熱があろうと、食欲が衰えることはまずなく、あっても数本の指で数えられるくらい。周囲もそうした姿をみて、とりあえずホッとする次第…。

 ひるがえって、特に今のガザでの惨状は目をおおうばかり。人口構成でも男性成人は比較的すくなく(殺されたり、投獄されたり…)、半分以上は成人に満たない層といわれる。しわ寄せは弱者にいき、住居どころか病院も破壊され、食糧も乏しい。乳幼児に大人の少ない食物をまわそうにも無く、次々に死んでるという。国連援助のトラックに食物を求めて次々と群がる。それをイスラエルは銃撃の対象にして殺害している。

 遠い日本では、今国会にとうとう農基法(食料・農業・農村基本法ほか関連法案)改悪案が閣議決定され、国会に提出されている(2024.2.27)。とりわけ「食料供給困難事態対策法案」はひどい。食料輸入が困難になったら(おそらく戦争など)、農家にイモなどを作らせるという。花農家にも。食料自給の柱は投げすてて、違反したら罰則付き。作物の種や肥料などは大きく外国に依存しているし、それらを勘定に入れれば自給率は10%前後ともいわれるのに!

 世界の(外国の)できごとは、この遠い日本の台所、私たちの胃袋に直結していることは間違いなく、値上げラッシュの店頭を漫然とながめるばかりではすまない。