#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

50年目の休眠打破を

知りませんでした。桜の開花予報は沖縄から北海道まで日本全国を北上していくのだとばかり思っていました。でも沖縄以外の、いわゆる本土はソメイヨシノで一色(八重桜、ヤマザクラ、等々はもちろんあります)なのに、沖縄はヒカンザクラなのです。

従って桜の開花予想は本土の天気予報のいちコーナーとして、駆け巡っていくのに、沖縄の桜の開花は冬の、まるであだ花のように報道されています。自然現象のことといえばそうなのでしょう。冬の一定の低温を経ることによって、春に冬眠がさめて開花するという、『休眠打破』の期間が沖縄にはないからソメイヨシノは咲かない、ということです。ソメイヨシノは人工交配で生まれた一つの品種で、そのクローンが全国に広まったーーしたがって同じような環境条件では一斉に咲き、散っていくということなのだそうです。

沖縄の外の人間には、常識のように、年間行事のような桜の花見しか知りませんでした。春になったら、ひとりでに咲きだし、それを眺めるだけ。沖縄でも冬はもちろん寒い日、寒い時期はあります。でもヒカンザクラは咲いているのです。

「沖縄にはサクラは咲かないし、雪も降らない。それが悪いことなのですか」。同じ都道府県のひとつなのに、46人の兄弟姉妹から仲間はずれにされ、基地をはじめ大変な仕事を押し付けられてきました。

自分を含め、本土の人間にとってひとりでに冬が来て、やがて春が来て桜は咲きますが、桜の花の摂理は知ることもなく…。「眠眠打破」こそ本土の人間に必要なのかもしれません。その見開いた目で、あらたに記された沖縄の「建議書」が今度こそ国会の住人達に読まれることを願いたいものです。

桜の花は戦火の中のウクライナでも咲いていることでしょう。戦い疲れた人々に、ひとときの安らぎをもたらしてくれることを祈るばかりです。