#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

平和、命そして信頼

昨夜、テレビのスイッチを押したらNHKの番組「クローズアップ現代」がやっていた。すでに終わりごろではあったが、桑子さんがロバート・キャンベル氏にインタビューしていて、ちょっと気になって見入ってしまった。

氏は日本文学研究者だが、ウクライナを訪問し直接に戦争の惨禍を目にしてこられたそうで、オスタファ・スリヴィンスキという詩人が戦時下のウクライナで市民から聴きとった言葉を集め『戦争語彙集』として出版されたものを更に邦訳し、今秋の刊行予定という。

今日のウクライナの状況ならではの詩として紹介していた。例えば、”爆撃下でシャワーを使ってはならない・・・・泡だらけのケツの戦死者になるから”など、面白くもありながら悲惨さを感じずをいられないものだ。

そして氏は、戦時下のウクライナで人々が何よりも欲しているのは、あいまいな「平和」という言葉ではなく、何より”命”であり”生きる”ということなんですよねーーと。

ウクライナはロシアに比べぶあまりに小国というイメージがあるものの、日本より大きく、日本全体の面積にさらに本州分を加えた広さに、4500万人が住む国だ。日本のおよそ三分の一ほど。絶えず爆撃の恐怖にさらされ、さらに核兵器の脅しにあっている。欧州一の原発も抱えているし、たとえ小型核兵器といえども威力は広島、長崎の例の比ではない。つまりヨーロッパ全体、地球規模の影響は容易に予測できる。

ー翌くる明朝3時54分、それまでの音楽番組が途切れ、ラジオからいきなり”Jアラート”の知らせが流れてきた。北朝鮮から飛行物体が発射され、日本の上空を飛ぶというもの。対象地域は沖縄地方というものの全国を非常事態として「危険だ」と放送した。テレビでは宮古島や東京のPAC3の様子を流して、迎撃態勢をとっているかのよう。さいわい4時7分には防衛省の発表として4時ころには太平洋上空に達しているとのこと。

そして弾道ミサイルではなく、衛星ロケットで、多段式なので部品落下の恐れもあるから、何かあったら知らせるように、とのことだった。それも以前から通告されていた由。放送は30分以上、延々と繰り返し、まるで日本も戦時かと思わせるような口調にうんざりさせられた。

そういえば日本もロケット発射を何度となく行い、失敗も繰り返している。それも用途として軍事偵察衛星との話もあるくらい。これは落下の危険はないのだろうか。そしてどこかの国から迎撃される恐れはないのだろうか。平和ボケと非難されるのかもしれないけれど、口調に時勢におもねるようなアンフェアさを感じるまでの感性はもちあわせているつもり…。「信頼」という言葉があまりにも欠落しそうな日本で。