先年、初夏の京都へ旅し、歩きまわったことがある。嵐山の緑濃い竹林の道を抜けてたどり着いたところが、化野(あだしの)念仏寺だった。小雨ふるなか、境内に白い墓石が数限りなく点在している一角に、件の六地蔵がひっそりと建っていた。正確には「六面六…
息子が小さかった頃、毎朝、ほうきを持って庭や家の前の道路をそうじするのが課せられた仕事だった。春には小さい花がたくさん積もって、彼はブツブツ文句を言いながら、時には怒りながらほうきをふりまわしていた。 そう、庭には年々大きくなるミモザの木が…
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