#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

♫ドン、となった花火が…

 デジャブ…、既視感、そう、いつか見た光景。忘れたりしても、忘れられない、そしてふとした瞬間、頭の片隅によみがえる記憶、映像といった意味だろうか。

 先日の福岡の香椎浜で見た情景だが、不謹慎かもしれないけど、これは難民キャンプじゃないかと思ってしまった。落ちてゆく夕陽をただ茫然と見ている群衆。なすすべもなく時間が過ぎていくほかない…。

 なんのことはない、7時半開始の花火大会にむけて無料席の場所を確保して時間待ちをしているだけ。強風のなか、シートを押さえポリ袋に詰めた砂で固定し、でも全身に砂を浴びながら、みんな始まるのを待ちわびていた。

 でも、ふと「難民キャンプ」ってこんなんじゃすまないだろうな、と思う。自ら食べ物や水を確保することもできず、トイレすらどこにあるのかもわからない。頭上に決まりきった注意事項をうながす放送の声が流れている。今日という日がやっと終わり、明日がほんとに来るのだろうか、不安とほんの少しの安堵感を胸の底にためながら、視る夕陽はなぜか美しい。高層ビルとのなんという対比なのか、またまた不謹慎ながら思いがけず吹き出したくなる。高層住人はどんな生活を送っているんだろう。つい見上げてしまう。

 ぴったり7時半に恒例のご挨拶から始まり、やがて7000発もの花火が上がった。下界には8万人もの観衆が時折、歓声をあげる。6年ぶりという。技術の進歩か、職人さんの飽くなき探求なのか、今まで見たことのない花火も。空いっぱいに広がる大玉も。低い夜空を彩る文字通りの花に似たものも…。季節はずれに思える4月の花火でした。