#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

私たちは、私はどう生きるか

君たちはどう生きるか」ー

よく知られている吉野源三郎の少年少女向けの名著であり、それを基にしたといわれる宮崎駿監督のアニメタイトルでもある。その制作にいたるNHKドキュメント「プロフェッショナル」を観て、次いでWBCのジャパン優勝までのドキュメント番組を観た。

それぞれ違った形と内容ではあるものの、各人の強烈な生き様を描き、それなりの感動を得られるものであった。少なからず興奮をたしかにしたし、何がしか自分も頑張ろう、このままじゃいけないと怠惰な自分を鼓舞させてくれる。

だが、TVのスイッチを切って用を足し、しばらく脳内で反芻していると、それぞれのよって立つ足場はどうなんだろう、状況はどう考えられているのだろうか?と問いたくなる自分がいた。たしかにそれぞれ格闘し活躍してきた姿を切り取って映像化したものではあるが。

でもたった今の瞬間、10分に一人の子どもの命が奪われているガザの戦場をテレビや新聞で見聞き、財布の中身を数える毎日、…。そんな自分の足場から自分は何をどうしようというのか。宮崎駿監督のメッセージはまだなかなかつかみ切れていないけれど、これまでの作品に定番のような展開を極力排した進行には、各人の目の前の岐路をどう考え、選ぶのかと問われるものを感じた。

作品の時代背景は戦前(といっても80年近く前のことであり、いまだ”戦前”の呼称は使われている)。それは多くの時間を経た今日の日本の状況においても、なにかしら似たものを感じてしまう。そうした鋭い時代感覚を監督は抱き、観衆に提示しているのではないか。しかしその解釈は各人にゆだねられる。そのために解説はいっさいしないし、語られることはない…。