#香椎台 木もれ日日記

香椎宮の森の木陰で、広い空をながめながら日々の思いを綴ります

カノン、という生き方

 昨年末に亡くなったジャーナリストの一人である外岡秀俊さん。もう一つの顔が小説家。その著書に「カノン」がある。記憶を無くしていく難病の女性と、末期がんに侵された男性が「脳間海馬移植」で入れ替わり、それぞれの人生をたどる…という近未来小説だが、書名からわかるように、音楽のカノンに象徴されるように二人の生き方が交差し、やがて…というとても興味深いもの。

 が、亡くなる直前まで連載していたのが収録されてこのほど本として刊行されたという。「価値変容する世界」(朝日新聞出版)。コロナ禍の世界における様々な思考、事物の変化を記者らしい丹念な取材と筆力でまとめたもの。

諸著作にもちろん興味深いが、作家と記者という職業も思考も異なる人生を送った著者(それぞれ職業上、時期的にも厳格に区別されている)の生き方に深く学ぶところがあるものと思われる。